かつて「焦点切り替え式」と呼ばれるカメラがあった。ズームレンズのように漫然と伸び縮みするのではなく、あらかじめ決められた二種の焦点距離を随時切り替えて使うというものだ。
中学生時代、英語の教師が使っていたカメラがまさにその形式で「これは単玉式ズームだな」と感心した記憶があるが、本家ズームレンズの技術革新により「焦点切り替え式」カメラ自体が忘れ去られた存在となってしまった。 そして現在、リコーCX1のステップズームをいじくっていると、「ああ、これはまさに和製トリ・エルマーなのだな」と思う。正しくは28-35-50-85-105-135-200mmの7段階なので、ヘプタ・エルマーと呼ぶべきなのだが、僕の心の中ではようやくトリ・エルマーを手に入れた気分なのだ。さらに細かいことを言うと、100mmではなく105mmという設定も気に入っている。この数字からニッコールの105mmF2.5を思い出す人も多いだろう。 将来、本物のトリ・エルマーを手に入れることはないだろうし、銀塩への回帰もなさそうだ。デジカメはますます進化を続け、「写真機」という概念自体、過去のものになっていくのかもしれない。そのときはもう、トリ・エルマー云々など隠居の小言にすぎない。 けれどもそんな時の流れが見えているからこそ、一消耗品としか見られないデジカメの中に、せめて何らかの物語を見つけ出したい、とも思うのだ。 にほんブログ村 スナップ写真 >>My Website:travelogue ASIA スクンビット総合研究所メインサイト
by silkroad4263
| 2009-04-23 23:59
| カメラ・レンズ小噺
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by スクンビット総研
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