EOS60D / EF28mmF1.8USM (Ishinomaki, 2011.10)

1793年11月、16人乗りの千石船「若宮丸」は石巻を出港後、嵐に遭い漂流。翌年5月、北米アリューシャン列島に流れ着いた。
ロシア人に保護された彼らはシベリアを横断し、首都サンクトペテルブルグにて時の皇帝アレクサンドル1世に謁見。現地に帰化する者、死亡する者を除き、最終的に4人が帰国することとなった。1803年4月のことである。

その後、帰国者はロシア艦隊とともに大西洋を横断、南米ホーン岬を回りカムチャッカ半島ペテロパウロフスクを経て長崎に入港を果たす。
公式記録上、日本人として初めて世界を一周した人物となった瞬間である。
1804年9月、漂流から11年の月日が流れていた。

一方、鎖国体制下で彼らの生存を知る由もない日本側は、1799年に慰霊碑を建立。
その後、同碑は禅昌寺庭園の石橋の土台として使われていたが、1989年の修復時に「発見」され、現在では境内に史跡として展示されている。

EOS60D / EF28mmF1.8USM (Ishinomaki, 2011.10)

禅昌寺の近く、往時の船乗りが空模様を見たという「日和山」は現在公園として整備されている。
津波の傷跡の向こうに、若宮丸が進んでいったであろう大海原が広がる。

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